温熱療法(ハイパーサーミア)がん治療効果

温熱療法(ハイパーサーミア)と免疫治療による新たながん治療戦略
の動画です。

この講演では、温熱療法によるがん治療についてふれられています。

温熱療法と樹状細胞ワクチン 1/4
下平滋隆先生『がんワクチンとしての樹状細胞療法の現状と今後』



温熱療法と樹状細胞ワクチン 2/4
下平滋隆先生『がんワクチンとしての樹状細胞療法の現状と今後』
~林賢先生『進行がんに対する集学的治療~転移、再発腫瘍に対するあきらめない治療~』



温熱療法と樹状細胞ワクチン 3/4
林賢先生『進行がんに対する集学的治療~転移、再発腫瘍に対するあきらめない治療~』
~安田浩康先生『癌治療における電磁波温熱療法の役割』



温熱療法と樹状細胞ワクチン 4/4
安田浩康先生『癌治療における電磁波温熱療法の役割



ハイパーサーミア(がん温熱療法)というのは、腫瘍の局所を30~60分間42~43℃以上に加温する治療法です。放射線や化学療法の効果を高める ことが期待され、またそれ自身にも殺細胞効果があります。そこで問題は如何にして腫瘍局所をこの温度に加温するかということです。1980年代に世界中で 加温装置の開発競争が行われ、ある意味では今もそれが続いています。そこでの開発方針は、放射線治療のように出来るだけ限局して腫瘍局所だけを加温する局 所加温であるべきか、広く腫瘍を含む部位を加温し腫瘍は血流の差で特に高温になることを期待する部位加温でよいとするか、の二つに分かれました。これは殊 に身体内部にある腫瘍、深部腫瘍、について技術的に大きな問題になります。アメリカは前者を目標として突き進んで精密複雑な装置を作ってきましたが、最近 になってようやく下腹部の腫瘍の加温ができるようになりました。我が国では後者の方向をとり頭蓋内を除く殆どの部位について1985年以来一応の成功を収 めています。確かに前者の方が遥かに難しいのでアメリカの現状は止むを得ないと思われますが、本当に放射線のような局所限局性が必要なのかという点に付い て十分な吟味がなされていないと思います。  具体的にはアメリカでは体のまわりに沢山の発信アンテナを置いてコンピュータ制御で体内の一ケ所に電波を集中し て加温しようとしています。極めて高度な技術ですが、人体はさらに複雑で予想通りの反応を示さず、計算通りの結果がなかなか得られないということです。そ れを超音波でやることも試みられましたが、骨や空気層が邪魔をして特定の部位にしか応用できません。このためアメリカではいまだにハイパーサーミアは実験 的治療としてしか認められていないのです。
 我が国では二枚の電極で身体を挟んで高周波を流す方法によるサーモトロンというのが主流です。これでは身体を通 してほぼ一様に電流が流れる理屈ですが、腫瘍内では血流が少ないために温度が上がり易くまわりの正常組織との間に温度差が生じます。腫瘍が42℃になった 時には正常組織も40℃位になり、全身も少し体温が上がりますが、40℃位の加温は血流を良くし免疫能を高めるなどの効果が観察され、むしろ治療に役立っ ていると考えられます。体温の上昇も適度であれば快適因子のエンドルフィンの産生を増やすなどが期待されます。
 問題は電極の直ぐ下に位置する皮下脂肪の過度の加温にあるので、皮下脂肪の厚い人ほど加温が難しいと言う事になります。この問題も治療を担当した医師からの提言を検討し、順次改良を加える事で改善され、いまでは殆ど問題にならなくなりました。


ハイパーサーミアは何故効くのか。
従来の考え方と新しい見方。



 がん治療の原則はどんな治療法でも同じで、正常細胞とがん細胞或いは正常組織とがん組織(腫瘍)とを区別してそのうち後者だけを選択的に排除することで す。これは外科手術でも放射線療法、化学療法でも変わりません。最近遺伝子治療ということが言われていますが、何時も問題になるのがこの区別がうまくつく かどうかという点です。免疫療法は免疫ということ自身が異物を排除する機構ですから、がん治療でも大いに期待されるわけです。ところが治療の実情はどうで しょうか。
 手術では肉眼的にこの両者を区別します。しかし細胞レベルの区別は出来ません。放射 線は初め正常細胞とがん細胞とで感受性が違うのではないかと期待されましたが、その後の研究でそのような差は認められず、丁度外科と同じように肉眼的な線 量分布を正確にすることでがん組織だけを照射する努力が行われています。化学療法ではこの区別が不十分なために患者は副作用に悩まなければなりません。最 近ようやく一部のがんに対して極めて特異的な抗がん剤が出来ました。

 この点でハイパーサーミアは極めて優れています。がんが腫瘍を作ればそこは血流が十 分でなく酸素不足で乳酸が作られ酸性にかたむきます。一般に細胞は環境が酸性になるほど温度感受性が高くなり死に易くなります。また前にも述べたように血 流が少ないと温度も上がり易いのです。放射線やある種の制癌剤は細胞のDNAに傷をつけますが、細胞自身はこれを可也の程度修復することが出来ます。とこ ろが42℃以上になるとこの修復が働かなくなり細胞が死に易くなります。すなわち温熱には増感作用があるということです。
 細胞レベルでもがん細胞は正常細胞に比べて熱に弱いということが示されています。こ れらの細胞をばらばらにして熱を加えたときには差がありませんが、生体内で組織を作るように互いに接触させると、正常細胞は大変熱抵抗性になります。これ には細胞間の密な連絡が役立っているものと考えられます*1。がんは悪性度が進むほど細胞間の連絡が悪くなるだけではなく、分裂もしばしば異常になりますが、がん細胞の分裂機構は熱に弱く、従ってがん細胞は熱にはますます弱くなると考えられます*2。また短期間の温熱抵抗性は生じますが、制癌剤の場合のように抵抗性のために無効になるというようなことはありません。従って何度でも繰り返して治療が可能です。
 このように従来からハイパーサーミアががん治療法として優れたものであることは明ら かでしたが、最近その作用機構の研究が進むとともにその特徴が一層明らかになってきました。その第一は、加温方法と関連したものです。前にも述べましたよ うに、部位加温の場合には、腫瘍局所の温熱による殺細胞効果の他に、周辺正常組織の適度の加温による免疫能の亢進が認められます。これはがん治療にとって 意味のあることと考えられます。第二は温熱の作用機構に関したことです。制癌剤の場合にはそれぞれの薬剤で互いに異なる特異な目標があり、全体として良い 効果を期待するためにはこれらを組み合わせる必要があります。ところが43℃の温熱では細胞内の蛋白の変性を通じて細胞のほとんど総ての成分が目標になり ます。それらをすばやく護り耐性を作るか、変性したものをいち早く除いて新しいもので補うか、などがうまく出来るかどうかで、正常細胞とがん細胞との温熱 感受性の違いが決まるものと考えられます。このように攻撃する目標が多岐にわたることが、目標の限定されている制癌剤に比べてハイパーサーミアの優れた点 です。















を増強させます。

がん温熱療法(ハイパーサーミア)とは



ヒ トの細胞は42.5(~43)℃以上に温度が上がると急速に死んでしまうので、
この原理を利用して、”がん”細胞の温度を選択的に上昇させて、”がん”を
死滅させてしまおうと考案された治療法です。

がん温熱療法(ハイパーサーミア"hyperthermia")とは狭い意味では
がんに対する温熱療法をさし ています。

通常は40~45℃程度の温度を使った治療を意味していますが、
広義的には最近開発されたラジオ波(RF波)やマイクロ波を使った
より高い温度 (70℃~)での治療も含まれています。

また、近年の研究では、41℃程度の低い加温でも
十分に放射線治療・化学療法の効果を高めるとともに免疫力を高め ることがわかっています。

熱に弱いがん細胞を死滅させる



42.5℃以上になるとがん”細胞”は死んでいきます。

しかし、”がん”細胞の周囲にある正常な細胞も温められて 死んでしまうのではないかと
危惧される方も多いかと思います。どうして正常な細胞は死なないのでしょうか。

じつは正常組織では、がん組織と同じようには温 められても、血管が拡張して
血液がいっぱい流れることによって、血液が車のラジエーターのように熱を運び去ってくれるのです。

ところが”がん”組織の中に ある血管は温められても拡張することができないので、
ラジエーターの壊れた車のようにオーバーヒートしてしまい、
”がん”細胞だけが温められ死んでいくの です。


副作用がなく、免疫も活性化


  1. 治療率が向上する
    がんの種類に関係なく効果が得られ、放射線や抗がん剤に抵抗性のがんにも、効果を発揮し、治癒率を向上させます。
  2. 適応範囲が広い
    早期のがんだけではなく、再発がんや転移性のがんにも応用でき、延命効果と症状緩和が得られます。
  3. 身体に優しい治療
    副作用が少なく、患者さんの状態が不良な場合も適用できます。また、長期間(1年以上)にわたって何回も治療が可能です。
ハイパーサーミアは正常組織にダメージを与えることなく、
がんの病巣のある領域を治療することができるので、副作用や後遺症などがありません。

回数に制限なく、手術や放射線治療をした後でも施行できます。

42~44℃の加熱による「がん組織の直接的な壊死効果」とともに、
周辺組織にも39~41℃に加温されることによって「宿主免疫の活性化効果」をもたら します。

40℃前後のマイルド・ハイパーサーミアで「免疫力を高めてがんを撃退する」という面の研究も
進んでいます。

がん種・部位を問わず幅広い治療実績

理論上はあらゆるが んに有効ですが、実際には温めやすいもの・温めにくいものと様々です。

また、施行病院によってさまざまながんに対する治療の得手・不得手もあります。

これ らのことを踏まえた上で、無作為試験で有効性を示されている疾患として、
再発乳がん・メラノーマ(悪性黒色腫)・子宮頸がん・直腸がん・膀胱がん
・頸部リ ンパ節転移などがあげられます。

これら以外でも脳腫瘍・肺がん・食道がん・肝臓がん・膵臓がんなど殆どのがんで、
有効であった患者さんが多数報告されてい ます。
  • 口腔がん
  • 咽頭がん
  • 喉頭がん
  • 肺がん
  • 食道がん
  • 胃がん
  • 肝臓がん
  • 膵臓がん
  • 十二指腸・結腸・直腸がん
  • 子宮がん
  • 卵巣がん
  • 乳がん
  • 膀胱がん
  • 前立腺がん
  • 悪性骨腫瘍
  • 軟部肉腫


併用で温熱が真価を発揮。集学的治療法の一翼を担う

放射線との併用

がん細胞は37℃で 放射線を照射するよりも、43℃で照射するほうが致死効果が高く、
また41℃程度の低い加温でも十分に放射線治療の効果を高めることが分かっています。

放 射線だけでは効果が上がりにくい大きくて血管の乏しいがんほど、
温熱が効きやすいことから、両者の併用で増感効果が得られます。

化学療法との併用

一般に使われている 抗がん剤に併用効果が認められています。
加温で血流が増えると薬剤ががん細胞によく到達し、
細胞内への移行が促進されること、薬剤で損傷したがん細胞の修 復が抑えられることにより、
薬剤を少なくし、副作用を軽減できます。

がん組織内への薬剤の取込量が数倍増加する一方、
正常肝組織での代謝作用が著しく上昇 し、肝機能が保護されます。

手術との併用

術後の再発抑制に有効であるだけでなく、手術前にも用いられています。

直腸がんの手術前に行う温熱科学放射線療法により、根治率が上がり、
進行がんでも肛門温存術の可能性も高くなることが報告されています。

 

免疫療法との併用

マイルド・ハイパーサーミアによる免疫増強効果が注目されているほか、
最近では、活性化リンパ球療法や樹状細胞療法などの免疫細胞療法との併用も行われています。


高周波による領域的な加温制御を実現

加温方法には、ラジオ波やマイクロ波を用いて身体に外から温める外部加温、
食道や直腸などからだの中から温める腔内加温、身体全体を温める全身加温などがあります。

現在最も多く用いられている方法は、RFによる外部加温です。

ハイパーサーミアの治療装置サーモトロン-RF8(山本ビニター製)は、
高周波(8MHz)を利用した領域的な外部加温方式です。

温度コントロールが容易 で、がん組織を選択的に深部まで加温できるという特長があります。

この装置で治療した多くの症例があり、安全性と有効性を示すデータが
日本ハイパーサーミ ア学会をはじめ、内外の学会で報告されています。

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